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コンビニに入ると、冷房が良くきいていて、この瞬間だけは外の暑さも忘れてしまう。
「渉さん。何飲みますか?」
こんなに屈託(クッタク)のない笑顔を向けてくれるのに、それは秘書として“社長”のプライベートを楽しませてやろうという慰めのようなものだろうか。
強気な俺がこんな考えを巡らしている。
「…なあ、望愛…。」
「はい。」
俺の気弱な呼びかけに首をかしげて上目遣いに俺を見る。
仕事の時とは違い、ゆるくまとめられた髪のサイドのおくれ毛がゆらりと揺れる。
「…お前は?」
「私はつぶつぶオレンジとお茶。二本の大人買いですね。」
「…そういうの、大人買いっていうのか? なら俺はコーヒーと水。」
「はい。ミルク入りですよね?」
アイツは俺に確認しながらコーヒーを選んでそれをカゴに入れた。
その後、楽しそうに菓子をいくつかカゴに放り込んで二人でレジに向かった。
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