変化-1

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渉さんの水色の背中が涙で滲んでしまいそうになった時、 渉さんが声を発しながら私を振り返った。 「今野会長はどこにいる?」 今野会長は3時からのお客様だ。 「…あ、はい。役員用の特別応接です。」 渉さんは答えた私の言葉よりも…私の顔を見入っていた。 「…なんで泣いてる?」 「…え。泣いてなんか…。」 「嘘言うな。」 渉さんが顔を覗き込むので隠しきれなかった。 「…社長の…姿に…感動しちゃいました。」 「ふーん。その続きは後でじっくり聞く。まだ途中だしな。」 視界に入る渉さんの口角が上がる。 ドキリとしたのも束の間、エレベーターが到着して扉が開くと、渉さんはドアの隙間を縫うように狭い間を通り抜けた。 そうだ、時間がない。 渉さんは応接室に向かい、入室前に手早く身なりを整えると、再び表情を引き締めて部屋に入った。 私はそれを見送りながら、 また…胸を熱くしていた…。
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