使者-1

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…二人は知り合い。 …お前のことはあてにしてない。 …監視させてた。 …演技。 二人の会話を聞いて、少しずつ事態を把握しようとする。 彼女が入社したどうしようもない理由。 そのことから始まって、何かが結論づけられた時、 私は胸の奥が縮まるほど悲しくなった。 彼女が入社した理由がどうであれ、 今まで彼女が私に接してくれた態度は… 決して演技ではなかった。 悲しくなったのは彼女の気持ちに気付いたから。 『…好きな人がいるの…。』 …彼のこと… …好きなんだ。 彼女のカラダが小刻みに震えているのにも気付かずに、彼女が好きなその彼は、 隣のテーブルから椅子を一つ引っ張って、私たちの楽しかった小さな空間に土足で無理やり踏み込んできた。 小さなテーブルの淵に以前と同じように肘をつき、私に薄っすら笑いかける。 「望愛ちゃん、やっと会えたね。」 彼の言いようのない不敵な笑みに、彼女だけでなく、私のカラダまでもが震え始めた。
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