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彼女の胸の中は、
スカートのプリーツと同じようにギュッと、クシャっとなって締め付けられているだろう。
自分の好きな人に…
そんな言葉を投げるのだから。
私にできるのは
私の想いを素直に言うことだけ。
彼がもう勘違いしないように。
もう…私のそばに寄らないように。
…私だって…今なら強気になれるんだから。
「…彼女にこんなこと言わせるなんて、本当に最低で最悪です。…あの時…聞いてなかったんですか?…『私は彼のものだ』って。私には彼しかいない。彼のことが好き。…わかったら、もう私には関わらないでください。だけど、彼女にだけは、ちゃんと謝って下さ…。」
「桐谷さん、もういいの。」
私が言い終わらないうちに彼女が私の言葉を遮った。
「…もう、いいの。…結局、桐谷さんに会えたのは恭ちゃんのおかげだし…、もう、いいの。桐谷さん!飲み直しに行きましょうよ!」
明るく言う彼女の顔で、その瞳には涙がいっぱい溜まっていた。
「うん!行こう!!」
私たちは二人で彼に背を向けた。
何かを言いかける彼を背中で跳ね返して、私たちは夜の街に力強く歩きだした。
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