使者-2

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「…あら。渉くん。」 『お母さん』に『渉くん』。 二人は当たり前のようにそう呼び合っていた。 「…あら。私…お邪魔しちゃったかしら?」 「いえ、そんなことありませんよ。彼女が言うとおり、昨日は友達と食事をして、帰ってそのまま寝てしまったようです。今日は私との約束があったので迎えにきたところです。」 …私への態度と打って変わって爽やかな対応に目が軽く点になる。 「…まあ。そうなの?今日はデート?んふ。」 「ええ、彼女が家で手料理を振舞ってくれるそうで、楽しみにしてるんです。」 …はい。半強制的にですけど。 「まあ。望愛は料理だけが取り柄だから。お口に合うといいんですけど。」 「いえ、望愛さんにはいいところがたくさんありますよ。それに料理が上手いのは、それ以上にお母さんがお上手だからでしょう?」 …私にいいところがあるなら、普段からそれを私に言って。…私は褒められて伸びるタイプなんだから。 …そして、最後は母を持ち上げる最強の一手。 …この辺で… 「…ところでお母さん、今日はどうしたの?」
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