2526人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あら。渉くん。」
『お母さん』に『渉くん』。
二人は当たり前のようにそう呼び合っていた。
「…あら。私…お邪魔しちゃったかしら?」
「いえ、そんなことありませんよ。彼女が言うとおり、昨日は友達と食事をして、帰ってそのまま寝てしまったようです。今日は私との約束があったので迎えにきたところです。」
…私への態度と打って変わって爽やかな対応に目が軽く点になる。
「…まあ。そうなの?今日はデート?んふ。」
「ええ、彼女が家で手料理を振舞ってくれるそうで、楽しみにしてるんです。」
…はい。半強制的にですけど。
「まあ。望愛は料理だけが取り柄だから。お口に合うといいんですけど。」
「いえ、望愛さんにはいいところがたくさんありますよ。それに料理が上手いのは、それ以上にお母さんがお上手だからでしょう?」
…私にいいところがあるなら、普段からそれを私に言って。…私は褒められて伸びるタイプなんだから。
…そして、最後は母を持ち上げる最強の一手。
…この辺で…
「…ところでお母さん、今日はどうしたの?」
最初のコメントを投稿しよう!