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「…どうしたのって…何でもないわよ。」
「え?」
しらっとした顔で言う母に拍子抜けしてしまう。
「ふらっと来てみただけ。買い物でもしようかなと思ってね。望愛がいたら誘おうかと思ったんだけど…うふふ。先約があったのね。」
「…来る前に連絡してよ…。」
「あはは。ごめんね。」
…母のこのいきなりの行動は別に今に始まったことじゃない。
それに私もこんなことを言っておきながら、母のような行動をしてしまうこともしばしば。
親子だからなのか…だからこれ以上なことは言えなかったりする。
すると、渉さんが口を開く。
「じゃあ…望愛、今日はお母さんに付き合ってあげろよ。せっかく来てくれたんだし。俺の方はいつでもいいから。」
その言葉を聞いて今度は母が慌てる。
「あ、あ、いいのよ。ごめんね。本当にいいの。一人なら一人でゆっくり回るから。今度はちゃんと連絡してから来るし。渉くん。望愛も楽しみにしてると思うから今日はあなたたちの予定通りにしてちょうだい。」
そこで渉さんが少し考えてから言った。
「じゃあ…、お母さんも僕の家でご一緒に食事をどうですか?」
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