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母の前の好青年風渉氏はどこかに消え去り、目の前の渉さんの目が吊り上がる。
明らかに不機嫌になっていた。
…な、何?
私、また何か変なこと言っちゃった?
怒らせるようなこと言ったかな。
「お前、覚えてねえとかありえねえし。マジで酒禁止。飲んだら殺す。」
不機嫌さの絶頂。
本気で怖がる私をさらに睨んで、渉さんはソファにドスッと体を投げた。
「出掛ける。さっさと支度しろ。」
「…はい。」
私は逃げるようにお風呂場に駆け込み、シャワーを全開にした。
…な、何なのよ…。
強めのシャワーの中で何度も考えたけれど
渉さんの不機嫌さの原因はどうしても…
…わからなかった。
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