使者-2

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母の前の好青年風渉氏はどこかに消え去り、目の前の渉さんの目が吊り上がる。 明らかに不機嫌になっていた。 …な、何? 私、また何か変なこと言っちゃった? 怒らせるようなこと言ったかな。 「お前、覚えてねえとかありえねえし。マジで酒禁止。飲んだら殺す。」 不機嫌さの絶頂。 本気で怖がる私をさらに睨んで、渉さんはソファにドスッと体を投げた。 「出掛ける。さっさと支度しろ。」 「…はい。」 私は逃げるようにお風呂場に駆け込み、シャワーを全開にした。 …な、何なのよ…。 強めのシャワーの中で何度も考えたけれど 渉さんの不機嫌さの原因はどうしても… …わからなかった。
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