使者-2

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「…渉さん、離して…。」 私の言葉を無視する渉さん。 渉さんの手が太ももからもっと上に伸びてきそうになる。 「渉さん!やめて!」 自分でも驚くほどの大きな声だった。 でも、そうでもしなければ渉さんを止められなかった。 お願い…。 その前に… …聞かせて。 「何なんだよ?」 こういうことって、愛し合ってするんじゃ…ないの? 渉さんの目はまだ冷たいままだった。 私はその冷えた視線に耐えながら、喉の奥から声を絞り出した。 「…渉さん。私のこと…どう思ってるんですか?」 …お願い。 …好きだと言って。 渉さんに触れられた時よりも 今、この瞬間の方が心臓が大きく跳ねていた。 でも、渉さんは私が欲しい言葉を言ってはくれなかった。 「そんなの、今、カンケーねえだろ。」 私の胸の奥は音もなく締め付けられた。
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