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シャワー後(アト)の濡れた髪。
離れた場所でも香るシャンプーの残り香。
少しだけ怯(オビ)えたアイツの目。
これを前にして我慢のきく男がいたら俺はなんとか賞に賞金まで付けて表彰してやる。
俺は唇を塞ぎ、アイツのカラダを抱えたまま寝室のベッドに移動して、アイツをそのまま押し倒した。
アイツの寝室ではリビングとは違う匂いが俺の嗅覚を小さく刺激する。
女の匂い。
アイツの匂いだった。
それを感じてさらに俺の中では異常なほどに感情が昂(タカ)ぶる。
アイツの抵抗など単なるパフォーマンスだと思ってた。
嫌よ。嫌よ。も好きのうち。ってやつだろ。
それに俺は本当に頭にきていた。
俺に会いたいと言ったのをアイツが忘れていることに、心底腹を立てていた。
早くアイツのカラダに俺を刻んで、身も心も俺から離れられなくしてやる。
酒がなくても言わせてやる。
『…渉さん…会いたいよ。』
焦っていた?
いや、そうじゃない。
ただ、
本当に欲しかった。
欲しくて欲しくてたまらなかっただけなのに…。
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