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数回のコール音の後に、それが途切れる。
『…俺だ。』
電話に“俺だ”って出る人は、渉さんだけだ…なんて客観的にツッコミを入れたくなる。
…酔っているから大胆な発想も生まれてしまう。
「…渉さん…どうしたんですか?」
電話を掛けて起きながら、急に眠気に襲われて、まぶたが一瞬にして重くなる。
『…どうしたじゃねえよ。こっちのセリフだ。…お前、飲んでるだろ?こんな時間までどこのどいつと飲んでた?俺がいないとこでは飲むなって言っただろ?お前、バカか?』
「…どこの…ドイツ人…?が…バカ…?」
…ダメ。
渉さんの言ってることが理解できなくなってきた。
頭がさらにボーっとして、熱い息が漏れてくる。
横になったせいで、疲れと酔いが一気に体を支配していくみたい。
『テメエ、ふざけんな。…聞こえてんのか?バカが。……。』
…聞こえてます。
…聞こえてるけど…理解できない。
「…渉さん…。」
この後、私は何を話したか覚えていない。
ただ…
渉さんは怒っていたような気がするけれど
その怒鳴り声さえも
心地よくて…
私はそのままソファで眠ってしまっていた。
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