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静かな部屋にはキーボードを叩く音と書類をめくる音だけが聞こえている。
時間が心配なので、私の頭の回転も手先のスピードもいつもより少し早かった。
室長は自分のデスクで別の作業をしているらしく、二人とも言葉もなく手を動かしていた。
「…出来ました。」
大きく息をつきながらイスの背もたれにのけ反る私に室長が自分のデスクから近付いて来る。
「…お疲れ。」
「確認をお願いします。」
室長のオッケーが出るまでは出来たとは言えないんだった。
私は背筋を伸ばし直して、資料を印刷した。
少し離れた位置のプリンターで印刷したものを手に取ると、それをきれいに揃えて室長に渡した。
室長は歩きながらも目では文字たちを追っていて、そのままデスクに着いた。
確認にも少し時間がかかると思った私は給湯室に向かい、二人分のコーヒーを入れることにした。
今日は私もコーヒーの気分だった。
給湯室では首と肩をぐるぐる回して、緊張している筋肉を和らげる。
急いでするパソコン作業は少しだけ肩が凝るのだ。
それから、室長用の薄めのブラックを入れ、自分も室長と同じようにコーヒーを入れた。
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