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「…くん。」
「…谷君。」
「桐谷君。」
「え?」
「どうしたんだ、ぼーっとして。」
「え、私…。」
あらら、いつものぼーっとちゃんが出てしまったようだ。
何度か呼ばれていたのかもしれない。
…変なこと考えてるからだ…。
「…この状況でそんな目で見つめられると…結構辛いんだが…。」
「え、あ、私、変な目…してました?」
「…ああ。…色っぽい目。」
「い、いろ、色っぽい!?」
…そんな目してない!
してない!してない!
…てか、どんな目!?
心の中で必死な言い訳をする私に室長はさらにいじわるな言葉を放った。
「…どんなこと…考えてたんだ?」
「ど、どんなこと!?」
…言えない。
…言えるわけない。
なのに、言えない代わりに顔の温度だけは急に上昇してしまって、耳の先まで熱くなる。
思わず恥ずかしさで両手で顔を覆った。
「…そんなに…顔を赤くすることなのか?」
室長の目も口元も穏やかさを残しながらもいたずらっぽく笑っていた。
…な、室長ってこんな性格だった?
私は困って顔をぶんぶん横に大きく振っていた。
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