2526人が本棚に入れています
本棚に追加
そして、次の瞬間、床にペットボトルが転がる。
「…こうだ。」
ソファの上で正座をしていた私は渉さんの腕で勢いよく押し倒された。
「キャア。」
渉さんが私の上になる。
両手の自由も奪われて、私は身動きすることが出来なかった。
腕を抑えつける渉さんの両腕の力がそれほど強かったわけじゃなくて…
渉さんの視線が私から動きを奪っていた。
私を見下ろす渉さんの眼差しが、少し長めの前髪で陰りながらも、私の視線を縛りつける。
怒りに満ちていて…悲しげな瞳。
「…ふざけるな。お前が俺以外にこうされるのと、お前が殺されるのは俺にとっては同じ意味だ。酔っぱらって鍵一つもかけれねえようなら、もう二度と酒は飲むな。」
息が…
止まりそうだった。
どうしてか…
涙も流れた。
「…ごめんなさい。」
かろうじて喉から絞り出した声はあまりにもか細く、渉さんに届いたのかはわからなかった。
そして、私は思い直す。
そう…
私が許して欲しい時の謝り方は…
ただ一つ…。
渉さんの手の力が緩み、私の腕が自由になった。
最初のコメントを投稿しよう!