2526人が本棚に入れています
本棚に追加
使者-2
その夜、私たちが帰宅したのはもう日付が変わる直前だった。
実はあれから二人でカラオケにも行ってしまった。
だからもう…
…へとへと。
家に帰って来て、そのままソファに体を投げるようにして横になる。
ここで体を横向きにして膝を曲げて丸くなるのが心地いい。
自分でも意外な赤という色を選んでしまった一番の理由は…寝心地。ただそれだけ。
別に赤でなくても良かった。
何色でも良かったけれど、この寝心地の良さに匹敵する他の代物がなかったのだ。
私の体に合う、この高さ、大きさ、クッション性…。
そこで寝転びながらバッグから携帯を手探りで取り出した。
…あ、着信。
それは、渉さんからのものだった。
時間は一時間以上も前のものだった。
あ、カラオケで気づかなかったのかな…。
仕事のことなら連絡が取れないことは許されない。
だけど、この時は仕事…ではない気がして、
…どうしたのかな…。
そう思いながら、ぼんやりとした頭で指先はもう、通話ボタンに勝手に触れてしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!