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「うわ、サワさん!」
「さ、佐和子さん!?」
反射的に二人で顔を離した。
「あらら。私ったら、とんだお邪魔を。申し訳ありません。」
耳まで色の変わったアイツの横で、俺も顔の温度が少し上がっちまった。
サワさんにだけはかなわねえ。
「…いるなら先に言ってくれよ。」
「すみません。お邪魔するつもりはなかったんですが、ちょうど、旦那さまがお帰りになったようで。ふふ。せっかくだから桐谷さんにお出迎えをして頂こうと思いまして。」
「そうか。」
そして、俺はアイツに向き直る。
「…だってよ。頼む。親父のニヤついた顔が目に浮かぶけどな。」
「はい。わかりました。」
アイツは急いで手を洗って、小走りで玄関に向かった。
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