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わ、わ、わ。
もう少しで…佐和子さんに見られちゃうとこだったよ…
…キスの瞬間。
私は佐和子さんの視線から逃(ﾉｶﾞ)れるようにダイニングを出て、玄関に向かった。
…会長が帰ってみえる。
私は顔の熱をなんとか冷まして、エプロンの形を整えた。
そして、広い玄関で待つこと数十秒。
玄関の扉が開いて、会長が帰って来た。
「おかえりなさいませ。」
お辞儀をした頭をゆっくり上げると…
そこにはいつもと変わらないあたたかい…深い笑顔。
会長は何を言うよりも先に…
「ただいま。」
そう言ってくれた。
「会長、お邪魔しています。」
私は挨拶をして、会長の後ろに立つ室長にも顔を向けた。
「お疲れさまでした。」
「…ああ。」
もちろん、室長は私がここにいたことに驚いていたようだった。
私は驚いた表情のままの室長から会長の荷物を受け取った。
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