使者-3

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「…その格好。準備してくれてるのかな?」 会長は靴を脱ぎながら言った。 「…はい。会長のお留守中にすみません。」 「そんなことは気にしなくていい。楽しみだよ。…そうだ、菊森君も食べていくか?」 そう言って会長は私から室長へ視線を移した。 私も会長が室長にも声をかけると思っていたので、同じように室長を見つめ、肯定の返事を待った。 「…いえ、今日は遠慮させていただきます。」 室長からの返事は待っていたものではなかった。 「…室長、何かご予定が?」 思わず私が声をかけていた。 「…あ、ああ。今日は少しね。」 室長はそう言って視線をすぐに会長に戻した。 「では、私はこれで失礼します。お疲れ様でございました。」 そして、室長はもう一度私を見つめて、目だけで『じゃあ。』と言って玄関を出て行った。 その視線が少しだけ寂しそうだったことに… …私は気付いてしまう。
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