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「さあ、早く夕飯にしよう。」
会長はそう言いながら、もうダイニングテーブルの席に着いている。
「まあ、旦那様ったら大はしゃぎね。」
出来上がった料理を運びながら、佐和子さんが笑った。
渉さんがキッチンに入ってから、佐和子さんは少し離れて作業をして、どこか脇役に徹しているようだった。
渉さんは初めてだと言いながら、なかなかの手つきで手伝ってくれた。
…ただし、本当に大胆で怖かったけど。
…でも
実は男の人と一緒に料理をするというのは私も初めてで…
料理では余裕ぶっていても…
本当はすごくドキドキしてたの。
そして、いつの間にかダイニングのテーブルは料理で埋められ、佐和子さんに先に座るように促されて、私はエプロンを外した。
「私は…ここでいいですか?」
「いいですかって、そこ、お前の席だろ?とっとと座れ。」
『おまえの席』
そのフレーズに顔が赤くならないように…なんて、そんなコントロールは効かなくて、私は顔が熱を放ったまま席に着いた。
渉さんの隣の…
いつもの席に。
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