使者-3

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「おいおい、せっかくいい店構えなのに、そんなんじゃ客が減るぜ?」 私の違和感を渉さんが別の言葉で表現した。 「うるせえな。減ってねえだろ?俺は生涯このスタイルだ。文句あるなら食わせねえ。」 「はあ?」 「なんだよ?」 この店主さん、なんだが血の気が多すぎます。 でも、さっきからずっと話しているのに、手はそれ以上に忙しそうに動いていた。 そして、しばらくして出されたのは、天ぷら付きのざる蕎麦。 「わあ…。」 思わず見入る。揚げたての天ぷらの色鮮やかさと、きっとサクサクであろう天ぷらの食感を瞬時にイメージする。 「あ?天ぷら?」 私とは別の反応の渉さん。 そして、横目に私を見ながら言う。 「いつもはざるだけなんだよ。」 すると店主がニカッと笑う。 「だってよぉ。渉が初めて彼女連れてきたんじゃねえか。サービス。サービス。」 「あ、そ。ざるの分しか金払わねえからな。」 そう言った渉さんはもう、お蕎麦に箸を伸ばしていた。 渉さんのその表情は… もしかして… 照れてるの?
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