使者-3

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佐和子さんの夏休みが決まって、私たちの中にはなにかあたたかいものが生まれていた。 会長と渉さんと佐和子さん。 みんなはその輪の中に私の居場所もつくってくれていた。 …大好きな人と一緒にいられる… その幸せをかみしめていた。 「佐和子さんがいない間、朝ごはんを作るためには何時に来ればいいんでしょう?…早起きしなきゃダメですね。」 「はあ?朝から来て朝飯間に合うわけねえだろ。泊まり込みだ。泊まり込み。」 「…え?」 「『え?』じゃねえよ。」 「渉。それが人にものを頼む態度なのか?すまないね、桐谷くん。君さえ良ければ部屋は用意するからね。…本当に…こんなことをお願いしていいものか…。」 「あ、はい。それは大丈夫です。会長のお体のこともまだ心配ですし。渉さんも佐和子さんもいない時には私がそばにいますから。」 「…ありがとう。」 「うわ。なんだかんだ言って、親父が一番甘えてんじゃねえか。」 「・・・。」 笑いが絶えず、話も尽きず、食事もいつもの何倍にもおいしく感じられた。 「望愛。」 渉さんは二人の前で何度も私をそう呼んだ。 「はい。」 私はそれにドキドキしながら返事をして、その度に会長と佐和子さんが目を細めて笑っていた。
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