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それから俺たちはごく普通のスーパーで買い物をした。
カートは前のように俺が押す。
…実はこれを楽しみにしてた…なんて口が裂けても言えねえ。
スーパーに入ると、今までメニューのことで顔を曇らせていたアイツの顔が見る間に晴れていく。
「あ、渉さん。これ、安いですよ!これで何か出来るかなあ。」
「あ、これも。あのスーパーよりも安い!」
…おばはんか。
とも思いながら
『渉さん、渉さん!』
そう言って俺を手招きする仕草がたまらねえ。
「会長はどんなのが好きかな…。」
「渉さんはこれ、好きですか?」
俺たちのことを思って頭の中でメニューを考えてるアイツに顔の締りがなくなっていくのがわかる。
…わかっているのに、どうしようも出来なかった。
そして、アイツの頭の中の晩飯の構想は全くわからないまま、カートはいっぱいになり、精算を済ませて店を出た。
少し車を走らせ、近くの洋菓子店でデザートにマカロンを買った。
カラフルな色合いにアイツがはしゃぐから、全部の色を買い込んだ。
遅めの昼飯の後の買い物をして、家に着いたのは4時過ぎだった。
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