第2話

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 食事を忘れ、まじまじと涼はサクラを見つめた。年齢は会話で予想していたより幼いかもしれない。成る程……目立ちたくない性格なら、こんな美貌をもってテレビには映りたくない、という気持ちも分かる。これだけの美少女を芸能界がほっておくはずがない。  当のサクラはそんな涼の反応など気にすることなく 「あーっ! すっきりした! くうゾォ」 と笑みを浮かべさっそく鍋に突っつき始めた。 「じゃあ、ま……サクラも飛鳥もラクになったところで美味しく……」 「美味しくじゃーーないっ!」 ぴしっとサクラは箸で拓を差した。 「まず今日、何が起きたか全部吐け拓! おいしい食事のつまみにね」 「つ……つまみ?」  顔が分かってもサクラはサクラである。拓はイやな顔をしたがすかさずサクラはさっき拓が渡した<一回ヘルプ券>を突き出す。  拓はやれやれといった表情で刺身を口に運びながら「分かったよ」と罰ゲームを受ける人間のような顔をして語りだした。   「そんなの事故やん? 他殺の根拠はあるんか、拓さん」  食事はすでに鍋のシメの雑炊にかかっている。基本飛鳥が色々質問し、サクラと涼は黙って聞いていた。もっとも、人が死んだと聞かされた涼はしばらく驚きのあまり声がでなかったのだが。 「実は他の人には言ってないが……」  拓が説明しようとした時、サクラが止めた。 「ちょっと待つのじゃ拓ちん。……今ノイズが聞こえた」 「ノイズ?」  三人が顔をあわせる。サクラは目を閉じしばらく集中し……そして何かに気付き立ち上がると、拓の後ろにまわり、スーツの襟の中から小さく丸いナニかを取り出した。それを地面に叩きつけ踏み潰すと、バキッという音がした。なんと精密機械が詰まっている。 「盗聴器やん、 これ」 「え?」とつけられていた拓本人が驚く。一体いつつけられたのだろうか? 「これ市販品やけどこのサイズは高級品や。スタッフやったらこの部屋に仕掛けるやろうし…… 犯人は参加メンバーの誰かっちゅーことやな!」 「だとしたら……事件のことを知っている片山さんか田村先生……かな?」 「うぅーむ……さすがは海千山千の強者が集結しとるだけあるな」 飛鳥と涼が口々に言う。サクラがそれを締めくくった。
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