雲行き-1

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…渉さん。 …渉さん。 …渉さん。 社長室への廊下を早足で進みながら、渉さんを心の中で呼んでいた。 …顔が見たい。 会社でこんなこと… 不謹慎だとは思うけど、 今の私… どうしようもない。 渉さん… 私の気持ちを… …確かめさせて。 社長室の前でドアをノックをする時には… 胸の奥が苦しくて、 いつもの「失礼します」のその声が 小さな口から囁(ササヤ)くように漏(モ)れただけだった。
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