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連休前のこの週は、連休までに片付けなければならないことがたくさんあって、毎日を忙しく過ごしていた。
でも忙しくても体は少しも辛くなかった。
これがナントカの魔法だってことを
私は少しずつ実感し始めていた。
私の連休の予定も決まった。
佐和子さんが私を気遣ってくれて、私は連休の前半を遠野邸で過ごし、お盆にかかる後半を実家で過ごすことにした。
お盆には亡くなった人の霊が帰ってくる。
父を亡くしている私には毎年、特別な日でもあった。
佐和子さんは父のことは知らないはずだから、渉さんや会長が口添えをしてくれたのかもしれない。
明日の連休初日は佐和子さんもまだ居てくれて、仕事で言う“引継ぎ”をしてくれるというので渉さんの家に行くことになっていた。
金曜の仕事を終え、私は理央と奈美と一緒に秘書室を出た。
それは、たまたま三人の仕事が同じくらいに終わったからだったけれど、今日ばかりは室長と二人きりになることがなくて…少しだけホッとしていた。
狭いエレベーターの中で、理央と奈美の声はよく響いていた。
私はもっぱら相槌係で二人の会話を陰で盛り上げる。
エレベーターを降りて、大きな正面玄関を抜けると…。
「…あれ?」
三人並んでいた中で、私だけが立ち止まった。
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