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雲行き-2
「…金曜の夜だもんね。」
お店を探して少し歩くと、金曜の夜だけにどこもお客さんでいっぱいだ。
それに、今日は連休前で普段の週末よりも世の中の社会人の心は跳ねている。
予約なしでお店に入るのは…断念した方がよさそうだった。
「…すみません。せっかくお誘いしたのに、私、こういうの全く考えてなくて…。」
「ううん。私もここまでとは思ってなかったし…。あ。そうだ!」
「いいところ、ありましたか?」
野崎さんが表情を明るくして私の顔を覗き込む。
「家で食べよっか?」
我ながらいい案だと思った。
私のアパートはここからも近いし、家ならゆっくりくつろげる。
あまり親しくない人を部屋に入れるのは好きではないけれど、彼女はどこか特別な存在だったので、少しの抵抗もなかった。
彼女も私の提案に遠慮はしていたものの、うれしそうに賛成してくれた。
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