雲行き-2

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私が案内された部屋は二階で、渉さんの部屋の斜め向かい。 会長は倒れられてからは足が少し不自由なので、今は一階に寝室を設けているそう。 私のために用意してくれた部屋のドアを渉さんが開ける。 その後に続くと思わず感嘆の声が漏れる。 「素敵…。」 部屋の中は白とベージュと淡いグリーンの配色でまとめられて、家具は少しアンティーク調だ。 カーテンやベッド周りは綺麗なレースが覆っていて… 本当にお姫様にでもなった気分だった。 「…お姫様みたい。」 もうそんなことを口に出来る年齢じゃないとは思うけれど、本当にそんな風に錯覚して、夢見てしまう。 それを聞いて渉さんが笑う。 …渉さんだってそう思うよね。 25過ぎて『お姫様』って。 でも渉さんが言ったのは… 「…そうだ。ある意味お前は“お姫様”だ。」 「え?」 「気に入ったのは良かったが、あくまでもここは荷物置き場だ。お前のいる場所はここじゃない。」
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