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私が案内された部屋は二階で、渉さんの部屋の斜め向かい。
会長は倒れられてからは足が少し不自由なので、今は一階に寝室を設けているそう。
私のために用意してくれた部屋のドアを渉さんが開ける。
その後に続くと思わず感嘆の声が漏れる。
「素敵…。」
部屋の中は白とベージュと淡いグリーンの配色でまとめられて、家具は少しアンティーク調だ。
カーテンやベッド周りは綺麗なレースが覆っていて…
本当にお姫様にでもなった気分だった。
「…お姫様みたい。」
もうそんなことを口に出来る年齢じゃないとは思うけれど、本当にそんな風に錯覚して、夢見てしまう。
それを聞いて渉さんが笑う。
…渉さんだってそう思うよね。
25過ぎて『お姫様』って。
でも渉さんが言ったのは…
「…そうだ。ある意味お前は“お姫様”だ。」
「え?」
「気に入ったのは良かったが、あくまでもここは荷物置き場だ。お前のいる場所はここじゃない。」
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