雲行き-2

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渉さんはそばにある小ぶりのソファに私の荷物を下ろした。 「来い。」 渉さんは私の腕を掴んでそのまま部屋を出て、斜め向かいの自分の部屋のドアを開けた。 「お前はこっちの方が居心地がいいだろ?…慣れてるから。」 「な、慣れてる…って、まだ一回しか入ったことないですよ!?」 「一回で十分だろ。一緒に寝たんだから。」 …う。 顔に火がついちゃう。 そして、泳いだ視線がベッドで止まる。 それを見て渉さんも一緒にベッドを見つめる。 「お、マジでシーツがきれいになってる。」 そこで渉さんが声をあげて笑う。 「見ろよ。サワさん、枕二つ置いてるぜ?」 …ほ、ホントだ。 ベッドには枕が二つ並んでいた。 「…気が利くよなぁ?」 渉さんが枕から私に視線を戻して… 口の端をゆっくりと持ち上げた。
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