雲行き-2

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コンコン。 ドアを叩くノック音。 その音が 私の鼓動を乱していく。 渉さんは何も言わずにドアを睨みつけ、私もドアに視線を向けた。 ドアの向こうからは佐和子さんの申し訳なさそうな細い声が聞こえてきた。 「…坊ちゃま。ゆっくりなさっている時に申し訳ありません。」 渉さんは大きくため息をつきながらベッドから立ち上がってドアに向かった。 「サワさん…どうした?」 渉さんがドアを開けて佐和子さんに聞く。 私はベッドに座ったままで、背筋を伸ばして待っていた。 「…申し訳ありません。坊ちゃまにお客様です。」 「突然、誰だよ?」 「大塚 隆 オオツカ タカシ様でございます。」 「大塚?」 聞いたことのない名前に、私は驚きも、不思議がることもせずに二人の会話を聞いていた。 でも… この突然の訪問者のおかげで、 私は後(ノチ)に… 渉さんに気持ちを伝えていなかったことを深く後悔することになるのだった。
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