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佐和子さんとの買い物は、まるで母との買い物みたいに楽しかった。
店内を回りながら、佐和子さんは会長や渉さんの好きなものや苦手なものも教えてくれた。
「明日からのメニューは桐谷さんにお任せしますからね。」
そう、佐和子さんは明日の午前中にはお邸を離れて、初めての夏休みに入る。
明日のお昼からの食事は私が作り、そのまま2泊することになっている。つまり、今日を合わせて3泊の予定だ。
佐和子さんにはもっとゆっくりと休んで欲しい気持ちもあったけれど、佐和子さんはそれで十分だと言った。
本当は、初めてお邸を離れるので、会長や渉さんのことが気になって仕方がないのかもしれない。
…私じゃ少し、頼りないしね。
私の浮かない気持も、佐和子さんのあたたかい笑顔で少しずつ癒えていた。
そうなると、大塚さんに対しての感情も少しずつ変わっていった。
渉さんの知り合い。
久しぶりに会ったのなら、たくさん話したくもなるよね…。
大塚さんという人物を本当の意味で理解していない私は、のんきな考えを巡らし始めていた。
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