雲行き-2

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「わ、私。お出迎えに。」 大塚さん… なんだか…怖い。 私は佐和子さんの声を聞いて、そのままソファから逃げるように立ち上がった。 玄関に着くまでに心の中で何度も繰り返す。 『大塚さん…いつお帰りになるんだろう。』 彼の自由すぎる行動も少し苦手だけれど… それよりも、渉さんの態度に落ち込んでしまう。 私と少しも目を合わせてくれないし… あの言われよう…。 せっかくの… 夏休みなのにな…。 私は尖らせた唇をキュッと引っ込めて笑顔を作り直す。 玄関の扉の向こうに、会長の気配を感じたからだ。 「おかえりなさいませ。」 「ああ、桐谷君。来てくれてありがとう。あ、…ただいま。」 会長が少し照れたようにそう言った。 やっぱり…会長の笑顔は心にまで染(シ)みる。 渉さんの態度が“ああ”なだけに、今は会長に抱きしめてもらいたい気分… って、何考えてるんだろう。 でも…どちらかと言えば、会長には抱きしめてもらう…というより、抱きついてみたくなる…なんて。 会長…って お父さんみたいなんだもん。 ああ、いけない。 私は自分の変な妄想を追い払った。
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