雲行き-2

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彼女を見つめ、ポーッとする私に彼女の言葉が飛んでくる。 予想もしなかった言葉だ。 「桐谷さん…菊森室長のことは…好きじゃないんですよね?」 「え?」 あまりに予想外の言葉に驚きすぎて言葉が出なかった。 彼女がどうしてこんなことを聞くのか…考えるより先に彼女が言う。 「桐谷さんがライバルだったら…絶対にかなわないから。」 「え、あ、えと。違う!好きじゃないよ!あ、でも、上司としては尊敬してるけど!好きとか、そういうんじゃないよ!」 ああ…、私ってば年上の余裕がまるでない。 彼女の方がよっぽど落ち着いている。 「…本当ですか?」 「…うん。」 落ち着いた彼女の言葉に自分も落ち着きを取り戻す。 「うん。だって…。」 心臓が跳ねる。 今度は勢いよく顔の中心から熱が広がる。 別に… 本人にいうわけじゃないんだから。 私はこの時にも年上の余裕なんてまるでなかったけれど、自分の気持ちを確かめるようにしっかりとそれを… …初めて言葉にした。 「…私が好きなのは…社長だから。」
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