雲行き-3

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財布と携帯。ハンカチ、ティッシュ。最低限のものが入る小さなバッグに最後にエコバッグを入れて準備はオッケー。 私は裏口から出て、昨日佐和子さんと行ったスーパーへの道のりを辿(タド)る。 昨日は車だったけれど、今日は一人の歩きだ。 時間もかかるし、今出て来て正解だったと思った。 …大塚さんとも離れられるし。 今日は私は家事をこなしていたので、彼と一緒にいなくて済んでいたし、この買い物が終わって家に戻れば、もう彼はいない。 ホッとした。 見上げる空は昨日と同じように晴れ渡り、 真っ青な空に白い雲が穏やかに浮かんでいた。 「暑い…。」 私は手で日射しを遮(サエギ)りながら、眩しい空を仰ぎ見る。 渉さん… …待っててね。 私はこの暑さの中、今にもスキップしそうになりながらも、スーパーへの道を急ぐことにした。
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