雲行き-3

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「あーあ。望愛ちゃん行っちゃった。」 アイツが出ていった後、大塚はソファにドカッと踏ん反り返った。 「しょーがねーだろ。アイツの今の仕事はここの家政婦みたいなもんだ。」 「渉、それって職権乱用だろ?」 「ちげーよ。これはアイツが望んだことだ。」 「え?望愛ちゃんが?」 親父がいなくなって、急になれなれしくアイツの名前を呼ぶ大塚に苛立っていた。 「そうだ。アイツがやらせてくれと言ったんだ。」 「ねえ、それって…渉のことが好きだから?」 「バーカちげーよ。あ、言っとくけど、桐谷を気に入ってるのは俺じゃなくて、親父。」 「え!?親父さんが!?」 「そ。桐谷は俺の前に長いこと親父の秘書をしてたからな。俺が社長になって、親父は泣く泣くアイツを手放し、アイツもシブシブ俺の秘書になったってわけ。」 「でも、親父さんと彼女じゃ親子ほどの歳の差だろ?親父さんにはお前みたいな手の掛かる息子しかいねえし、娘として…可愛がってるだけだろ?」 「それがなあ…そういうわけでもねえらしいぜ。とにかくアイツに手を出すのは止めとけよ。」 アイツを守る為なら親父の名前を出したって罰(バチ)は当たらねえだろ。 とにかくコイツ、 早く帰れよ。
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