2243人が本棚に入れています
本棚に追加
「あーあ。望愛ちゃん行っちゃった。」
アイツが出ていった後、大塚はソファにドカッと踏ん反り返った。
「しょーがねーだろ。アイツの今の仕事はここの家政婦みたいなもんだ。」
「渉、それって職権乱用だろ?」
「ちげーよ。これはアイツが望んだことだ。」
「え?望愛ちゃんが?」
親父がいなくなって、急になれなれしくアイツの名前を呼ぶ大塚に苛立っていた。
「そうだ。アイツがやらせてくれと言ったんだ。」
「ねえ、それって…渉のことが好きだから?」
「バーカちげーよ。あ、言っとくけど、桐谷を気に入ってるのは俺じゃなくて、親父。」
「え!?親父さんが!?」
「そ。桐谷は俺の前に長いこと親父の秘書をしてたからな。俺が社長になって、親父は泣く泣くアイツを手放し、アイツもシブシブ俺の秘書になったってわけ。」
「でも、親父さんと彼女じゃ親子ほどの歳の差だろ?親父さんにはお前みたいな手の掛かる息子しかいねえし、娘として…可愛がってるだけだろ?」
「それがなあ…そういうわけでもねえらしいぜ。とにかくアイツに手を出すのは止めとけよ。」
アイツを守る為なら親父の名前を出したって罰(バチ)は当たらねえだろ。
とにかくコイツ、
早く帰れよ。
最初のコメントを投稿しよう!