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「風呂は奥の便所の向かいだ。先に行ってるから準備してこい。」
「はい。」
渉さんはそのまま廊下を進み、私は小走りで階段を上がって2階の部屋に向かった。
膨らんだ旅行バッグを開けて、中から着替えと下着、洗顔用品などを出す。
それを別の簡易なバッグに入れてすぐに部屋を出た。
いつだって渉さんを待たせるのはいろんな意味で得策ではないし…
今の状況ではやっと二人になれる時間。
私はバッグを抱えて急いでお風呂場に向かった。
お風呂場は奥のトイレの向い。
さっき佐和子さんに掃除の仕方を教わったから場所は知っている。
広くて、綺麗で、贅沢な空間。
ネットで見かけるホテルのバスルームみたいだった。
「おせーよ。」
壁にもたれていた渉さんが壁から背中を離して私に近付く。
急いで来たからじゃなくて…
心臓が大きく振れた。
渉さんはお酒を飲んでる。
いつもとは視線が微妙に違う。
「あーあ。マジでつまんねえ。いっそのこと一緒に風呂でも入っちまうか。」
「え、ええ!?ダ、ダメですよ。というか、む、無理です!」
「バーカ。冗談だ。あ、半分本気だけどな。」
「え。」
「なあ、望愛。」
渉さんの顔がさらに近付く。
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