雲行き-3

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「風呂は奥の便所の向かいだ。先に行ってるから準備してこい。」 「はい。」 渉さんはそのまま廊下を進み、私は小走りで階段を上がって2階の部屋に向かった。 膨らんだ旅行バッグを開けて、中から着替えと下着、洗顔用品などを出す。 それを別の簡易なバッグに入れてすぐに部屋を出た。 いつだって渉さんを待たせるのはいろんな意味で得策ではないし… 今の状況ではやっと二人になれる時間。 私はバッグを抱えて急いでお風呂場に向かった。 お風呂場は奥のトイレの向い。 さっき佐和子さんに掃除の仕方を教わったから場所は知っている。 広くて、綺麗で、贅沢な空間。 ネットで見かけるホテルのバスルームみたいだった。 「おせーよ。」 壁にもたれていた渉さんが壁から背中を離して私に近付く。 急いで来たからじゃなくて… 心臓が大きく振れた。 渉さんはお酒を飲んでる。 いつもとは視線が微妙に違う。 「あーあ。マジでつまんねえ。いっそのこと一緒に風呂でも入っちまうか。」 「え、ええ!?ダ、ダメですよ。というか、む、無理です!」 「バーカ。冗談だ。あ、半分本気だけどな。」 「え。」 「なあ、望愛。」 渉さんの顔がさらに近付く。
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