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「なあ、望愛…。」
少し酔っている渉さんはもう一度言った。
私を見下ろす視線が熱い。
「…はい。」
私はかろうじて返事をしたけれど、声がかすれてしまっていた。
「こんなにも我慢強くなった俺をちゃんと褒めてくれよ。ちゃんと褒めて…ご褒美をくれ。明日必ずお前をくれ。必ずだ。」
渉さんの甘い口調を初めて聞いた。
その声が耳に流れ込むだけで、私はどうにかなりそうだった。
酔って甘えた渉さんの言葉はまだ終わらない。
「…望愛。約束してくれ。」
渉さんの目は初めて見るどこか切ない眼差しで、その瞳の奥で本気で懇願しているようにさえ感じた。
『…はい。』
私は心の中で返事をして、それを言葉にする代わりに小さく背伸びをする。
渉さんの胸に手をつくと、渉さんの少し早い鼓動が手のひらから伝わった。
それは、お酒のせいかもしれないけれど、自分の鼓動と同じ速度に胸の奥が狭くなる。
私は丁寧に渉さんの唇にキスを落とした。
…私も
…待ってる。
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