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しばらくして、膝からゆっくりと顔を上げた。
涙を手のひらで拭いた。
鼻水もすごかったけれど、何せ私は手ぶらなのだ。
かろうじて持っていたのはポケットにあったハンカチ一枚。
私はそれで涙と鼻水を拭った。
ふと、土管の外に目をやると、丸い視界の中で雨が降っていた。
しとしと音もなく降る雨は、どこか切なげで、自分の涙と重なった。
この雨は…
きっと
どしゃ降りになるね…。
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