2272人が本棚に入れています
本棚に追加
裏口からほど近い場所に、洗濯物をたためる小さな和室がある。
部屋としては機能していないらしいけど、4畳ほどの小さな空間にも関わらず、ちゃんとエアコンもついていて、洗濯物を畳むには最適だ。佐和子さんはここでアイロンがけなどもするという。
実は佐和子さんにとってこの家で一番好きな空間らしい。
私はエアコンのスイッチを入れて、冷たい風を待っていた。
「うーん。快適。」
私ってばさっきから独り言を連発してる。
一人はやっぱり寂しかったりして…。
早く渉さんと話したいな。
なんて、乙女チックな自分の思考ににやけながら洗濯物を畳み始めた。
会長の服…
渉さんの靴下…
会長のシャツ…
渉さんの下着…
っわ。わ。
見ない。見ない。
渉さんのシャツ…。
こうやって、シャツを広げてみると…
渉さんの背中ってやっぱり広い。
女の私なんかとは全然違って…
いつも追いかけてる渉さんの背中を思い出す。
シャツに触れてぼんやりしていた。
おっと、いけない。
お昼も作らなきゃいけないんだから。
私は手早く畳んで他の洗濯物も片付けた。
…アイロンは後でゆっくりしよっと。
私はエアコンの電源を切って部屋を出た。
最初のコメントを投稿しよう!