最後の試練-1

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俺は動かなかった足で再び駆け出した。 アイツが俺以外の場所に居場所を求めるとしたら… 俺は今朝の会話を思い出した。 『…あの川。俺もまた行きてえ。』 またあの川に二人で行くつもりだった。 望愛… まさか一人で行ってねえだろうな…。 俺は家に急いだ。 家に着くと裏口から入って脇の小さな小部屋に飛び込む。 そこにはアイツが畳んだであろう洗濯物が静かに佇んでいた。 俺はそこからアイツの服とタオル、俺の服をたいして確認もせずに近くにあった紙袋に押し込んだ。 車の鍵を持って、戸締りをして再び家を飛び出す。 濡れたTシャツのまま車に乗り込み、シートも何もかもびしょ濡れだ。 だけど、そんなことはかまってられねえ。 形振(ナリフ)り構わず… こんな風に女を追いかけるのはみっともないのかもしれない… 以前の俺なら絶対にしない。 だが… みっともなくても カッコ悪くても どんなことをしてでもアイツは手放せねえ。 形振り構わずしなきゃならねえ時があるなら… それは 今しかねえ。
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