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俺は動かなかった足で再び駆け出した。
アイツが俺以外の場所に居場所を求めるとしたら…
俺は今朝の会話を思い出した。
『…あの川。俺もまた行きてえ。』
またあの川に二人で行くつもりだった。
望愛…
まさか一人で行ってねえだろうな…。
俺は家に急いだ。
家に着くと裏口から入って脇の小さな小部屋に飛び込む。
そこにはアイツが畳んだであろう洗濯物が静かに佇んでいた。
俺はそこからアイツの服とタオル、俺の服をたいして確認もせずに近くにあった紙袋に押し込んだ。
車の鍵を持って、戸締りをして再び家を飛び出す。
濡れたTシャツのまま車に乗り込み、シートも何もかもびしょ濡れだ。
だけど、そんなことはかまってられねえ。
形振(ナリフ)り構わず…
こんな風に女を追いかけるのはみっともないのかもしれない…
以前の俺なら絶対にしない。
だが…
みっともなくても
カッコ悪くても
どんなことをしてでもアイツは手放せねえ。
形振り構わずしなきゃならねえ時があるなら…
それは
今しかねえ。
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