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適度な歩行運動と雨の後の柔らかい日射しが私の体を温めた。
耳で感じる川のせせらぎ。
今日はあの時みたいに川は澄んでいなかった。
雨の後で少し濁った川はその濁りを元に戻そうと必死になってるみたいだった。
私はいつもより早い流れを見つめながら渉さんとの思い出をその水面に浮かべる。
あの時は…
天気がよくって、木漏れ日がキラキラしてた…。
二人でスカートとズボンの裾を捲(マク)り上げて、川に入ってお互いに水をかけ合った。
『秘書と避暑ですね。』
…なんて私が冗談言ったりして。
あの時、渉さんが…
『俺のそばを離れるな。』
って…。
そこまで思い出して目頭が再び熱くなる。
涙がこぼれる。
…こんなにも些細(ササイ)なことまで覚えてるなんて
自分でも思わなかった。
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