最後の試練-1

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頭上から聞こえる声。 橋の上から渉さんが顔を覗かせる。 見上げる私。 『…望愛。』 見上げた渉さんがもう一度私の名前を口にした。 だけど… 声にはなっていなかった。 自分の体が今にも崩れ落ちそうだった。 遠目にもわかる雨に打たれた渉さんの表情は… 泣いた後の子供のように寂しげだった。 強引で 俺様で モンスターな渉さんの初めての表情に 再び涙が溢れ出す。 『渉さん。』 私も渉さんを呼びたいのに… もう… 言葉にすることはおろか… 唇さえも上手く動いてはくれなかった。
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