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俺の言葉にアイツは震えながらかすれた声で返事をした。
『…ごめんなさい。』
そうじゃねえ。
そうじゃねえんだ。
お前に謝らせたいんじゃねえんだ。
なあ…
…望愛。
アイツを抱く腕に力がこもる。
望愛…。
「…悪かった。」
俺の言葉にアイツは俺の胸に顔を埋(ウズ)めたまま、下ろしていた両腕をゆっくりと俺の背中に回した。
「…こんなにも冷えて…。ごめんなさい。」
謝るのは俺の方なのに
アイツは顔を上げる。
泣き腫(ハ)らした瞳が俺を見つめる。
もう…
言葉なんてねえよ。
俺はアイツの唇を勢いよく塞いだ。
もう…
…何も言うな。
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