2268人が本棚に入れています
本棚に追加
渉さんは私の腕を強く引いた。
その反動で思わずつまずきそうになるのを渉さんが腕を引く力だけで私を支えた。
私は渉さんに引かれながら、それにしがみつくようにして川辺から岩場をのぼり、橋を渡り、車に乗り込んだ。
車に乗り込むと、渉さんはすぐにエンジンをかけ、ほとんど同時にアクセルを踏んでいた。
早く…
早く…
その気持ちは私も同じだったのかもしれない。
渉さんは運転している間
ハンドルを握らない右手で
私の左手を握ったままだった。
私はその手をしっかりと握り返した。
もう…
…離れたくない。
最初のコメントを投稿しよう!