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そんなことも…
確かに昔は言ってたかもしれねえ。
今はそれが都合がいい。
「それもあるな。ま、もともと俺の趣味じゃねえけど。とにかく面倒なのはごめんだ。お前も止めとけ。」
「…だね。俺、もっと遊びたいし、一人のコに縛られるのは嫌なんだよね。今まで経験がないなんて、一度ヤッたら結婚とか言い出しそうで怖いな。…望愛ちゃんてそういうタイプ?」
「知らねえよ。」
「もしかしてさ、本当に望愛ちゃんと親父さんが…とかになったら渉どうすんの?」
「カンケーねえよ。」
「だって、同じ屋根の下で親父さんと望愛ちゃんが…。渉、耐えられる?ま、渉のことだがら他で発散するか。」
「うるせえな。」
「じゃ、俺帰るわ。望愛ちゃんのことはあきらめたけど、今後の会長と望愛ちゃんとのことは気になるからまた教えてよ。昼ドラみたいじゃん。今度は外で会おうよ。若者は若者同士さ。女の子にも声掛けとくし。」
「一人で行けよ。時間もねえし。」
「またまた。渉の気に入りそうなタイプも知ってるし。任せとけ。じゃあな。せいぜい悶々(モンモン)としろよ。」
俺は玄関までアイツを追い出すように急かして見送った。
アイツが外に出て玄関のドアを閉めた時には、今までの人生で一番大きなため息をついた。
バカな奴の相手は本当に疲れる。
俺はダイニングに戻って時計を見る。
…もう12時じゃねえか。
つうか、
アイツ、遅くねえか?
そう思いながらアイツに飲み物を出さなかった分、俺も喉がカラカラで冷蔵庫を開けた。
…ん?
買い物…
終わってんのか?
水を取り出して一本のボトルの半分ほどを一気に飲む。
ふと、目をやったキッチンの床に…
アイツの小ぶりなバッグが置いてある。
やっぱ、戻ってんのか。
どこ行ってんだ?
俺はペットボトルのふたを閉め、アイツを探しにダイニングを出た。
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