最後の試練-1

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最後の試練-1

空は曇っているけれど、気温はそれほど変わらない。 蒸し暑さに加えての重い荷物に急ぎ足。 汗が噴き出した。 「暑ーい。」 アラームのスヌーズ機能のように一定の間隔を空けては繰り返していた。 それでも急いだ甲斐あって、渉さんの家に着くまでには雨は降らなかった。 「よかった…。」 ホッとして大きく息を吐き出すと同時にドッと疲れた気がした。 裏口からダイニングに入るとダイニングは静まり返っていた。 …大塚さん、帰ったよね? …渉さんは自分の部屋かな? 気にはなりながら冷蔵庫に仕舞う食材を先に片付けた後、急いでまた裏口から庭に出た。 洗濯物。 洗濯物。 庭に出て洗濯物を取り込む。 「ギリギリセーフ。」 空を見上げながら独り言。 空の雲は灰色一色となって、今にも雨粒が落ちてきそうだった。
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