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カーテンを閉め切った部屋では、ずっと同じ明るさなので
時間の感覚がまるでなく
いったい何時なのかわからなかった。
そんな中で私たちはただカラダを寄せ合って語り合っていた。
渉さんはいつもの調子で、話の途中で私をバカだと言ったり、笑ったり。
でも、私にはもうわかっていた。
それが渉さんの愛情表現だってこと。
…そうであって欲しいという願望かもしれないけど、私を『バカ』って言う時の渉さん
よく見たら
すごく楽しそうで…
うれしそうなんだもん。
「…バカって言わないでください。」
本当はうれしいのに私がそう言った時
部屋の中に大きな音が響いた。
二人で目を見開く。
「…これ。」
私はカラダを起こしながらシーツを手繰(タグ)った。
そのままシーツをカラダに巻きつけて、窓辺に行ってカーテンを開けた。
窓には夜空に打ち上がる大輪の花火が映し出されていた。
少し遅れて届く花火の大きな音が私の胸の中まで響いていく。
渉さんが私の背中から抱きしめる。
「…最高の…夏休みだな。」
私は斜め右上を向いて
もう一度
渉さんからキスをもらった。
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