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翌朝、私は枕元の目覚まし時計の音で目を覚ました。
体を起こし寝惚け眼で時計を見る。
「6時か・・・こんな時間まで爆睡したのなんて久しぶり」
いつもの朝でも、いつもとは違う特別な朝。
視線を落とすと、隣には寝息を立てる愛しい彼。
いつもは寝てる間に腕解いちゃうのに、今日はずっと腕枕しててくれたんだ・・・。
彼の寝顔を見つめていると、胸の奥からくすぐったい気持ちが込み上げる。
「和馬・・・好き。大好き」
力が抜かれた彼の手を握り、親指にそっとキスをした。
唇を離し、腕に頬を寄せ目を閉じると握った指がピクッと微かに動く。
「綾子、腕をスリスリすんなよ。くすぐったい」
眠そうな声が聞こえると同時に、包み込む様に背後から和馬が私を抱き寄せた。
「ごめん。起こしちゃった?」
抱きしめられる腕の中で、幸せの余韻に包まれる私の胸が、トクンと優しい音を立てた。
「んーん、もう起きる時間か?」
「もうすぐ六時。今日はオペ入ってるの?」
「今日は午後から助手が一件だけ。九時のカンファに間に合うように行けばいい」
瞼を閉じたまま、眠そうな声で答える。
「ならまだゆっくりできるね。珈琲入れようか?」
背後から耳元に温かな息が触れるのを感じ、顔だけをゆっくりと彼の方へ向けた。
「珈琲は後でいいや。今、昨日の綾子思い出してた。凄く乱れて最高だった」
振り返る私の耳で囁き、意地悪く微かに笑う。
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