再会

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和馬は私の体を強引に押し倒し、持っていたライターと煙草を床に放り投げる。 硬いフローリングにライターが叩きつけられ、カーンッと大きな音が響いた。 私は強い力で両手首を捕えられ、倒れこんだまま動きを封じられる。 「ちょっ、ちょっと!放してよっ!」 捕まれた手首に走る痛み。 恐怖心が過り、顔を強張らせ彼を睨み付けた。 「・・・おもしろくない」 和馬は、私を見つめ低い声で呟くと、直ぐに手の力を弛めた。 「和馬?・・・」 私は戸惑いながら、真剣な彼の顔を見つめ返す。 彼は、私の髪をすくい上げ、指の間を流れ通る髪を自分の口元に押し当てた。 「違う男の匂い・・気に食わない。消さなきゃな・・・」 彼の長い指がゆっくりと首筋を伝い、胸元を優しくなぞる。 そして、微かな吐息が漏れる濡れた唇は、彼の熱い息で塞がれた・・・。 溶け合う二人の体。 ベッドの軋む音が激しくなる度、私は激しく息をつき、声を上げて快感に震えた。  「痛っ・・・っ・・」 体勢を変えた瞬間、下腹部にズキッと刺さる様な痛みが走った。 快感によるものとは違う顔の歪みに気づいた和馬は、直ぐに動きを止めた。 「どうした?・・・」 「・・・ううん。大丈夫」 私は、乱れる息を小さく吐きながら笑顔を作った。 「そうか、綾子が可愛いから止まらない・・・」 彼は少し腰を引き、優しく唇を重ねた。 「止めないで・・・大丈夫だから」 愛しい彼の唇をそっと指でなぞり微笑む。 和馬は、触れる私の指から手首に視線を移した。  「綾子、さっきはごめん。・・・手首、痛かっただろ?」  彼は私の手を引き寄せ、自分が痛みを与えた手首に優しく口づけをした。 「痛くないよ。大丈夫だから。だから、私をずっと離さないでね。和馬じゃないと駄目なの私・・・」 手首から伝わる彼のやわらかい温もりと、体の中にある和馬の熱で身体中がドクドクと音を立て息が苦しくなる。
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