2人が本棚に入れています
本棚に追加
第2話 優しさの理由
転校してきて,1週間が経った。
目が合うと睨んでくる剣持に苛立ちを覚えながらも充実した毎日だと思う。
私は大人な対応ですまして剣持を更に怒らせるのが最高に楽しい。
でも,剣持と最初に話した時に言っていたファンクラブとやらは本当に存在していた。
「椎名さん,剣持さんのファンクラブ入らない!?」
って何回かお誘いがきたけど剣持に興味がないからと言って断った。
本当に剣持に興味はない。
彼女を見てたら虫唾が走るし。
剣持は基本授業中寝てる。
起きているところなんて見たことがない。
そのくせ賢いらしいからムカつく。
起きていても全く意味のわからない私にとって剣持の才能は羨ましすぎる。
数学の先生が凄い形相で剣持を睨んでる。
私は目で剣持に合図しようと試みるが寝ている彼奴が気付く訳無い。
「ちょっ,剣持起きな朝やで!」
ペンを落としたふりをして剣持の耳元で囁いてあげた。
私ってば何処までいい子なんだろうとか思ったわ不覚にも。
「んぅ...?
もう朝なのか...おはよ...」
寝ぼけてるよ此奴。
大丈夫か剣持。
寝起きの剣持は何処と無くかわい...訳ない!!
剣持,数学の先生が睨んでるよ早く起きろよ。
「それじゃあ,剣持。
これ,答えろ」
ほら-剣持やっちゃったよ。
当てられちゃったよ応用問題。
馬鹿め,馬鹿な剣持だ。
「ん-...」
重たい瞼を擦りながらも黒板に淡々と数式を書いていく剣持。
目が点になる。
そんなに賢かったの剣持。
「...正解だ」
先生なんか悔しそうだね。
「んじゃあ,おやすみ-」
再び就寝する剣持。
御前は何がしたいんだ。
剣持の子守に飽きた私は平然と授業を受けていた。
最初のコメントを投稿しよう!