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地獄の数学を終え,次は体育。
急に体操服は用意できなかったので,前の学校の体操服に。
赤のジャージ,すげぇ目立つよ私。
「なぁ」
隣で着替えていた剣持が声をかけた。
私は他人に声をかけているのかと思い,着替えを続けた。
「なぁ,椎名..だっけお前の名前」
「そうだけど」
「それ,前の体操服?」
「だったら何」
どうせ馬鹿にされる。
1人だけ赤ジャージなんだから。
「いや,萌え袖..」
「ん?」
そう言って手元を見ると確かに萌え袖だった。
「可愛いなって思って」
可愛い....!?
どうした剣持,頭いかれたか賢すぎて。
「どうした剣持。
今なら保健室空いてるで」
「...ばーか」
そう言って,剣持は教室から出てしまった。
「御前しか馬鹿やし」
剣持の発言に意味が分からず,思わず呟いてしまった。
「椎名さん」
声をかけられた。
確か..同じクラスの鳴海さん...だっけ?
「なんでしょ?」
「椎名さんって剣持さんと付き合ってる...?」
「いや,全然。
寧ろ見た感じ分かると思うけど私と剣持仲悪いし」
頼むからさ,鳴海さん。
捨て犬のような目で此方を見ないでくれ。
「で,でもね..剣持さんってあんな風に簡単に声かけたりしないよ。
だからね..剣持さんと付き合ってるのかなって思って...」
涙ぐむ鳴海さん。
「確かに剣持が声かけたりしているところ見たことないけどさ,女同士だし付き合うとかないやろ普通」
「ううん..このクラスの3分の1は付き合ってるよ」
はい!?
女子校,やはりレズ多いのか。
「そうなんだ..そりゃまぁ女子校やし..有り得なくもないか」
「でねっ,私剣持さんの事好きなのっ!!」
「と言われましても」
告白みたいなのされたけど,困る。
「だから,椎名さんに協力してもらいたくて!」
そう言って,私の手を握る鳴海さん。
「あ..はぁ...」
「だって椎名さんは剣持さんのこと嫌いなんでしょ?
協力してくれるよね?」
ニコっと微笑む鳴海さん,あんたは女優か。
泣いていると思ったら笑ったり。
「まぁ,出来ることなら」
「ありがとうっ!」
スキップしながら鳴海さんは去っていった。
私も後を追うように教室を出た。
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