第2話 優しさの理由

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「はい,鳴海-椎名遅刻-」 体育館まで走ったのに遅れてしまった。 「え-せんせ,まだチャイム鳴ってなかったよぉ?」 「今鳴った」 「え-でもぉ...」 先生のお説教を聞いていると不意にジャージの裾を引っ張られた。 振り向くと剣持がいた。 「何か用?」 「用件がなきゃ話しかけちゃいけないなんて法律も憲法もないだろ」 「まぁないけどさ」 私と剣持が話していると急に寒気がした。 きっと睨んでいるのは鳴海さんだ。 美少女なんだから睨んだ顔が醜く感じるよ。 「椎名」 「なに」 「ジャージ忘れた」 「だから?」 「貸して」 「やだ」 私たちの会話は比較的短い。 それにしても剣持話しかけすぎ鬱陶しい。 私のこと嫌ってんなら構わないでよ。 授業が始まって,バレーボールをやる事に。 パス練習で二人組を組めと言われて,真っ先に鳴海さんが剣持の腕にくっついた。 行動早いな鳴海さん,私もあれくらい俊敏になりたいよ。 「え-栞狡い! 私も剣持さんと組みたい-!!」 凄い支持率だな剣持。 「あ-喧嘩すんなって」 先生が止めに入るけど無駄のようだ。 「剣持-御前人気だなぁ」 「全然嬉しくないけどな」 素直に喜べよ剣持。 私は其処に立ち尽くしていて。 これじゃあ授業終わらないしな。 「じゃあ,剣持御前が誰とやりたいか決めたら?」 「せんせ,それは駄目! 絶対剣持さん椎名さんと組むもん!!」 「別に剣持が誰と組もうと自由だろ-」 そうそう,誰と組もうと自由...ってえ!? 否々,嫌だよ私は剣持と組むの。 すると,後ろから温かいものが。 振り向くと案の定剣持の姿が。 「あんさ剣持」 「せんせ-俺,このチビと組むわ。 此奴転校してきたばっかで全然慣れてないからさ」 「ん-そうしなそうしな」 「剣持,私は嫌だよ」 「御前に拒否権なんてないから。 どうせ鳴海に変な事吹き込まれたんだろ」 驚いて目を見開く。 その場に居なかったのに。 「やっぱりな。 鳴海には気をつけろよ,何考えてるか分からないぞあのアマ」 「そんな言い方ないやろ剣持。 あんただって私にとったら何考えてるかわからんし」 「兎に角,彼奴欲しい物の為なら何でもするような奴だから気を付けろよ」 耳元で剣持に囁かれた。 気を付けろ,か
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